薬⽣薬審発0831第9号への対応について
『「治験の実施状況等の登録について」令和2年8月31日薬生薬審発0831第9号
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長』への対応について
治験の登録については従来の課長通知での運用から、令和2年の薬機法施行規則改正で義務化されました。これに伴い、令和2年8月31日に「治験の実施状況等の登録について」が改正され、治験実施の透明性の確保及び国民の治験への参加の選択に資する事項の公表を目的に臨床試験情報登録センターの一本化や登録する情報の変更が行われました。
情報の登録義務がある治験依頼者、治験実施医療機関、治験審査委員会等公開となる組織の十分な通知への理解が必要です。
特に治験実施医療機関名の公開については、以前より患者・患者団体からの要望があり、治験情報のわかりやすい日本語での発信と合わせて、患者・国民の治験情報へのアクセスの確保に対して改善を進めることにより、治験への理解が一層深まり、日本における治験や医学研究の推進に繋がるものと考えています。
本サイトは、皆様の理解に役立てていただきたく、解説や参考となるURLをお示ししています。
上記通知改正の目的並びに円滑なデータベース統一化対応のため、ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
「治験の実施状況等の登録について」(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長)通知
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(新通知)令和2年8月31日薬生薬審発0831第9号 | 22KB |
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(旧通知)平成30年3月26日薬生薬審発0326第3号 | 86KB |
新旧通知の比較
重要な変更点は、赤字で示しています。
平成30年3月26日薬生薬審発0326第3号 | 令和2年8月31日薬生薬審発0831第9号 | |
治験の実施状況等の登録について | 変更点 | |
治験の実施状況等を第三者に明らかにし、治験の透明性を確保し、もって被験者の保護、医療関係者及び国民の治験情報へのアクセスの確保、治験の活性化に資するため、治験計画届を届け出た場合には、国内の臨床試験情報登録センター(jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)、JapicCTI 及び日本医師会臨床試験登録システム)に当該治験に係る情報を登録すること。 | 治験の実施状況等を第三者に明らかにし、治験の透明性を確保し、もって被験者の保護、医療関係者及び国民の治験情報へのアクセスの確保、治験の活性化に資するため、治験計画届を届け出た場合には、国内の臨床試験情報登録センター(jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)に係る情報を登録すること。 | 登録センターをjRCTに一本化した。 |
(1)登録する治験の範囲 | 変更点 | |
治験薬等を用いた臨床試験。ただし、健常人を対象とした第Ⅰ相試験及び生物学的同等性試験についてはその限りではない。 | 治験薬等を用いた臨床試験。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36 年厚生省令第1号)第268 条第2号から第6号までに掲げる薬物の生物学的な同等性を確認する試験を除く。 | 第I相試験を含めることとなった。 |
(2)登録言語 | 変更点 | |
我が国における医療関係者や国民による治験情報へのアクセスの確保の観点及び治験情報の国際的な共有(世界保健機関(WHO)のRegistry Network 上のPrimary Registry への登録)の観点から、日本語及び英語で登録する。なお、登録情報の重複を回避する観点から、英語での登録に関して、英語で諸外国のレジストリに登録している情報については、当該英語情報が登録されているURL 等を記載し、医療関係者や国民が容易に参照できるようにすることでも良い。 | 我が国における医療関係者及び国民の治験情報へのアクセスの確保の観点及び治験情報の国際的な共有(世界保健機関(WHO)のRegistry Network上のPrimary Registry への登録)の観点から、日本語及び英語で登録する。 | 日本語と英語による情報公開が必須となった。 (記載整備) |
(3)登録する情報 | 変更点 | |
原則として、WHO が国際臨床試験登録プラットフォーム(International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP))において登録・公表を求める項目(別添参考)を臨床試験情報登録センターの様式に応じて登録する。 特に、国民による治験情報へのアクセスの確保のため、治験薬、対象疾患、主要な適格基準・除外基準、治験の現状(治験実施中、終了等)、治験に関する問い合わせ先等については、適時登録・更新を行うこと。 |
原則として、WHO が国際臨床試験登録プラットフォーム(International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP))において登録・公表を求める項目(別添参考)を臨床試験情報登録センターの様式に応じて登録する。 特に、国民の治験情報へのアクセスの確保のため、治験を代表する医師、治験薬、対象疾患、主要な適格基準・除外基準、治験の現状(治験実施中、終了等)、実施医療機関、治験に関する問い合わせ先等については、適時登録・更新を行うこと。 なお、本通知でいう「治験を代表する医師」とは、WHO がICTRP において登録・公表を求める事項のうち、「Contact for scientific queries(科学的な内容の問い合わせ先)」への問い合わせの回答に責任を持つ立場の者であり、当該治験計画において科学的な視点から主導的な立場に立つ、国内外の治験責任医師、治験調整医師、治験依頼者に所属する者で医学的観点から治験計画について責任を持つ者等を想定している。 |
治験を代表する医師(解説あり)、実施医療機関の情報が追加となった。 (記載整備) |
(4)登録する時期及び更新 | 変更点 | |
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(記載整備) |
WHOの求めるデータセット
WHOデータセット | 和訳(参考) | |
1 | Primary Registry and Trial Identifying Number | 研究に対するユニークな識別番号 |
2 | Date of Registration in Primary Registry | 研究登録日 |
3 | Secondary Identifying Numbers | 研究に対するその他の識別記号 |
4 | Source(s) of Monetary or Material Support | 研究費提供元 |
5 | Primary Sponsor | 主要な実施責任組織 |
6 | Secondary Sponsor(s) | 協同実施組織 |
7 | Contact for Public Queries | 研究の問い合わせ先 |
8 | Contact for Scientific Queries | 研究責任者の連絡先 |
9 | Public Title | 正式な名称 |
10 | Scientific Title | 科学的な名称 |
11 | Countries of Recruitment | 臨床研究を実施する国 |
12 | Health Condition(s) or Problem(s) Studied | 対象疾患 |
13 | Intervention(s) | 介入 |
14 | Key Inclusion and Exclusion Criteria | 主要な適格基準・除外基準 |
15 | Study Type | 研究のタイプ |
16 | Date of First Enrollment | 研究開始予定日 |
17 | Sample Size | 目標症例数 |
18 | Recruitment Status | 進捗状況 |
19 | Primary Outcome(s) | 主要アウトカム評価項目 |
20 | Key Secondary Outcomes | 副次アウトカム評価項目 |
21 | Ethics Review | 倫理審査委員会審査 |
22 | Completion date | 研究終了日 |
23 | Summary Results | 研究結果のサマリー |
24 | IPD sharing statement | IPD共有に関する声明 |
関係リンク
-
- ● jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)
- ▶︎ 入力操作にかかる資料を掲載しています。
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- ● WHOデータセット(通知掲載)
- ▶︎ WHOの国際臨床試験登録プラットフォーム(InternationalClinical Trials Registry Platform(ICTRP)
- ▶︎ WHOのデータセットを解説しています(英語)。
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- ● 日本製薬工業協会開催「治験の実施状況等の登録に関する説明会(8月18日Web開催)
- ▶︎ 以下の動画の視聴、資料のダウンロードができます。
- 厚生労働省からの説明
- 国立保健医療科学院からの説明
- 日本製薬工業協会 臨床評価部会特別プロジェクト2からの情報共有
お問い合わせ先
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- ● jRCT統一化の動きと今後の流れについて
- ▶︎ 厚生労働省医政局研究開発振興課
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- ● 薬機法改正の動きについて
- ▶︎ 厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課・医療機器審査管理課
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- ● jRCTの操作について
- ▶︎ 国立保健医療科学院