治験実施体制調査
提言

   治験・臨床研究活性化5か年計画のもと、今後、医師主導治験が活性化されるために、以下の提言を行う。

1.実施医療機関における課題

   医師主導治験では、治験責任医師及び実施医療機関に治験実施に係る責任があり、企業治験以上に実施医療機関で行うべき業務を自立して行う必要がある。これを実現するためには、業務に関わる医師、スタッフを対象とした医師主導治験の業務内容(企業治験との違い)、及びその意義の教育が不可欠である。


2.同種同効薬にかかる費用の取扱いについて

   同種同効薬にかかる費用を医師主導治験の経費で賄うことは、現実的に難しい。高度医療評価制度と同様の同種同効薬の取扱いとなるよう、関連通知の改訂が強く望まれる。


3.医師主導治験の費用に関する課題

   公的研究費では、金額及び使用規定のため、CRC 等の治験に関わるスタッフの人件費を支出することが困難であるとともに、複数年度の予算が保証されず、治験の継続そのものが困難となるケースがある。実施体制の恒常的な維持が可能となる公的研究費の増額、採択及び運用方法についての改善を強く望む。
   一方で、公的資金だけに頼ることなく、利益相反の適切な管理、資金の流れの透明化を前提とした民間資金の導入も考慮すべきである。*1この場合には資金管理のための第三者組織の設立などを具体的に検討する必要がある。

 

*1平成26年1月更新情報:
「医師主導治験の推進に向けた取り組み及び体制に関する研究(平成24年度レギュラトリーサイエンス推進調査研究事業研究報告)」によると、2004年から2012年に治験計画届書が提出された医師主導治験(医薬品:70件、医療機器:9件)のうち、3件は企業が研究費を提供している医師主導治験であることが報告された。近年では研究費提供機関が多様化している傾向にあることが示唆される。

引用文献:
医師主導治験の推進に向けた取り組み及び体制に関する研究 ,小林史明他,医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス,Vol.44, No.10,827(2012)


4.医師主導治験のコストの適正化に関する課題

   企業治験よりも低いコストで実施されている医師主導治験であっても、開発業務受託機関への委託費などは企業治験のコストを基準にして算定されることがある。企業主導/医師主導を問わず、治験における適正な業務レベルと役割分担を見直すことでコストパフォーマンスの改善につながり、本来必要な業務により多くのリソースを導入することが可能になると考える。